令和4年度山岳遭難の概況

　令和5年6月15日に警察庁生活安全局生活安全企画課より「令和4年における山岳遭難の概況」が公表されました。（以下は、公表されたものを抜き書きしたものです）

1　概要

（1）全国の発生状況
    〇令和4年の山岳遭難の発生件数　3,015件（前年対比＋380件）
    〇遭難者　　　　　　　　　　　  3,506人（前年対比＋431人）
        うち死者・行方不明者　　　　　  327人（前年対比＋44人）
                 負傷者　　　　　　　　　  1,306人（前年対比＋149人）
                 無事救助　　　　　　　　  1,873人（前年対比＋238人）

　過去10年間の山岳遭難発生状況をみると、増加基調で推移していたのが、令和元年から2年連続で減少したものの、令和3年以降は増加に転じ、統計の残る昭和36年以降最多となった。

（2）都道府県別の発生状況

　最も多いいのが長野県284件、次いで東京都205件、北海道192件であった。

2　特徴

（1）目的別・様態別

遭難者3,506人について、目的別にみると、登山が77.8を％と最も多く、次いで山菜・茸採りが9.1％を占めている。

また、様態別に見ると、道迷いが36.5％と最も多く、次いで転倒が17.2％、滑落が16.5％を占めている。

（2）年齢層別

遭難者のうち40歳以上が2,747人と全体の78.4％を占め、また、60歳以上が1,779人と全体の50.7％を占めている。また死者・行方不明者では、40歳以上が308人と全体の94.2％を占め、60歳以上が231人と全体の70.6％を占めている。

（3）通信手段の使用状況

発生件数3,015件の78.6％が遭難現場から通信手段（携帯電話、無線）を使用し、救助を要請している。（内訳：携帯電話78％、無線0.7％、使用無し21.4％）

　以下遭難防止対策として、①的確な登山計画と万全な装備品の準備、②登山計画書・登山届の提出、③道迷い防止、④滑落・転落防止等々が述べられています。

 

　発表された数字をもう少し詳しくみてみると次のようになります。
様態別山岳遭難者の内訳：道迷い1,280人（36.5％）、滑落578人（16.5％）、転倒602人（17.2％）、病気285人（8.1％）、疲労286人（8.2％）、その他475人（13.5％）
都道府県別山岳遭難発生状況を関西圏でみると、兵庫県151人、滋賀県109人、三重県86人、奈良県73人、京都府52人、和歌山県15人。身近な山、六甲山系で遭難者が多いい事がわかります。年齢層別遭難者、死者、行方不明者をみると、表1、表2のように70～79歳台が一番多くなっています。知らず知らずに体力が衰えていることを自覚し、自分の体力にあった山に登りましょう。体力の衰えは、コース定数を目安に判断し、次の登れる山を選定しいつまでも元気で山登りを楽しみましょう。　　　　（2023.7.1　國司）

 年齢層別山岳遭難者（表1）

	平成30年	令和元年	令和2年	令和3年	令和4年
	人数	人数	人数	人数	人数	構成比
20歳未満	176	137	154	186	154	4.4％
20～29	216	207	194	247	296	8.4％
30～39	280	258	231	229	258	7.4％
40～49	390	396	321	413	406	11.6％
50～59	486	451	444	513	562	16.0％
60～69	692	640	511	572	708	20.2％
70～79	698	668	636	702	823	23.5％
80～89	181	173	196	207	236	6.7％
90歳以上	10	7	7	5	12	0.3％
不明			3	1	51	1.5％
合計	3,129	2,937	2,697	3,075	3,506	100.0％

 

年齢層別山岳遭難者（死者・行方不明者）（表2）

	平成30年	令和元年	令和2年	令和3年	令和4年
	人数	人数	人数	人数	人数	構成比
20歳未満	1	2	2
20～29	3	10	8	6	9	2.8％
30～39	13	13	14	13	10	3.1％
40～49	37	30	16	24	32	9.8％
50～59	42	38	35	36	45	13.8％
60～69	101	78	69	61	71	21.7％
70～79	110	93	96	102	113	34.6％
80～89	32	34	37	39	41	12.5％
90歳以上	3	1	1	1	6	1.8％
不明				1
合計	342	299	278	283	327	100.0％