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例会報告

2020.12.08

例会報告

夏山山行  蝶ヶ岳

日程

〔山行日〕  令和2年8月16日(日)~8月18日(火)

活動内容

旧蝶ヶ岳山頂の蝶槍2655mは、常念山脈稜線上の常念岳南にあるピークで稜線より、ピラミッド形の三角形の尖塔が天を衝き槍と名付けられるに相応しい存在感を漂わせている。主脈の穏やかな稜線より桂川を隔てて望む北アルプス(飛騨山脈)の槍・穂高連峰をはじめ北アルプスに点在する峰々を大パノラマで見渡すことができる人気の蝶ヶ岳は、2020年『山と渓谷』1月号、人気の山、全国100山に選ばれている。蝶ヶ岳(長塀〔ながかべ〕の頭が最高点で標高2677m)はこの山域での森林限界の標高2600mより少し高く、蝶の翅のように左右対称の二重山稜をもつ穏やかな地形で、二つの稜線に挟まれた凹地部分の残雪が消えた後には、お花畑が広がり、高山植物の宝庫となり、ミヤマキンポウゲやハクサンイチゲ等の咲く山頂周辺のお花畑はヤマケイアルペンガイド花の百名山の一つに名を連ねる。#66蝶ヶ岳を代表する花は、ミヤマキンポウゲで高さ30cm位の茎の先に2cm程の黄色い花を付け、大きな群落を作る北アルプスの代表的な高山植物の一つになっている。山名の由来は、安曇野側から見る春になると現れる山腹の雪形(残雪模様)が蝶の形に似ていることから名付けられた。

 

8月16日(日)晴れ

アルピコ交通の直行バス“さわやか信州号”上高地行き(ゆったりとした3列シート)は21:30夜も更けライトアップされ煌々と林立する高層ビル郡が天を衝く大阪阪急三番街のバスターミナルを出発。途中、新大阪駅と京都駅八条口で登山客を乗せ、大津SAで休憩をしたあと、名神高速道路、東海北陸自動車道、中部縦貫自動車道R158とつなぎ、日本屈指の山岳リゾート上高地をめざして走る。

 

8月17日(月) 晴れ 10℃

コースタイム

上高地バスターミナル5:30~明神6:20~徳澤園7:15~2000m平8:50

~長塀山(11:00~11:30昼食休憩)~妖精の池11:50~蝶ヶ岳12:15~

蝶ヶ岳ヒュッテ12:30

 

早朝、さわやか信州号はあずさ街道R158を走り、焼岳ルートの中の湯で登山客を下ろし、釜トンネルを抜けると、やがて漆黒の闇が微かに薄れ、車窓より頂稜のわずかな残雪が白く耀く穂高連峰の屹立した岩峰が見え隠れする。バスは朝霧に包まれたオオシラビソの林の中に付けられた上高地公園線を走り、焼岳を映した鏡のような湖面が上高地を訪れる登山客や観光客を魅了する大正池バス停へ。大正池は梓川が上流から運んでくる土砂と、焼岳が身を削るように流してくる土砂によって、年々その面積は小さくなっている。朝の斜光線を浴びた湖面は美しくもあり、寂しげでもある。バスはわずかな時間で上高地バスターミナルに到着。上高地登山相談所で登山計画書の提出と、ヒュッテへ架電し登山道の状況、熊出没の注意を訊き出発。河童橋を左に見て五千尺ホテルの前より清水川の小さな橋を渡ると小梨平キャンプ場で、8月9日、キャンプをしていた女性が、150~170キロのツキノワグマに襲われ、一瞬でテントが引き裂かれ、脚を引っかかれる事故が起こった。閉鎖中のキャンプ場を抜け、明神で休憩し、梓川左岸道を徳沢に向かう。徳澤園の裏にある蝶ヶ岳登山口より、コメツガ等の針葉樹林のササヤブにつけられたジグザグで急坂の登山道は針葉樹の茂り合った梢から朝の陽射しが細く漏れササヤブにいくつもの小さな斑紋を瞬かせている。2000m平で急登が緩み休憩し、長塀尾根をさらに登ると三等三角点のある長塀山2565mに着く。頂上はトウヒやオオシラビソに囲まれ眺望は悪い。一旦下り、アップダウンを繰り返し、高山植物が咲き乱れる妖精の池に沿ってお花畑を進むと、森林限界を越え、砂礫の山道が現れ登り詰め、蝶ヶ岳2677m山頂に着く。山頂より深く切れ落ちた梓川の峡谷を挟んで対峙する槍穂高連峰が余すことなく眼前に展がる。奥又白谷上部の前穂高岳東壁や屏風の頭の険しい岩壁は、岩の一つ一つを見る者に曝け出し、涸沢のU字谷も細部まで見渡せる。槍ヶ岳においては見る角度が素晴らしい。東西が狭い蝶ヶ岳は、振り返れば眼下に安曇野の市街地が広がり、遠望すれば正面に浅間山、右手には今年登山禁止の富士山が見える。稜線を少し下り、頂上直下北斜面に建つ蝶ヶ岳ヒュッテに到着。ヒュッテの定員は200名で今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、10分の1の20人。限定完全予約制で受け付けており、1人につき1室の個室が割り当てられる。ザックを部屋に置き、山頂付近のお花畑を散策し、5:30より食堂のアクリル板で隔てられた1つのデーブルに2人ずつ座り、夕食をとる。部屋は浅間山が見える東に窓があり、夕暮れには安曇野の夜景が眼下に広がり、やがて夜も更ければ夏の夜空に満天の星座が昇ってくる。天空の領域の圧倒的な世界に見入ることができる。

 

8月18日(火) 晴れ ヒュッテ内15℃

コースタイム

蝶ヶ岳ヒュッテ7:00~横尾分岐7:20~蝶槍7:40~横尾分岐8:00~槍見台9:15~横尾山荘10:25~徳澤園(11:25~11:50昼食休憩)~明神12:35~ビジターセンター(13:20~13:45)~上高地バスターミナル14:00

 

4時半に起床し窓の外を見ると安曇野はモコモコとした雲海に覆われ何も見えない。ヒュッテを出て上高地側を覗くと綿菓子のようなガスで覆われ、下の様子は伺い知れない。雲上の主稜線を山頂に向かう。東の空には細い眉を描いたような下弦の月が浮かんでいる。やがて東の雲海の被方管平と浅間山の間に真っ赤な光が滲み漆黒の空が微かにオレンジ色に染まる御来光を見る。やがて太陽はぐんぐん昇り、槍穂の岩峰を赤く染めていく。眩しい光のシャワーを浴びながらヒュッテに戻り、6:00より20人揃って朝食をとる。オーナーで名物女将の神谷圭子さん56歳は、昨年12月病気で急死する。梢さんと楓さんの娘の内、長女の梢さんがオーナーとして頑張っている。コロナ禍による登山自粛の影響で蝶ヶ岳ヒュッテの運営も苦境に立たされている中、若手スタッフにも気持ちよく対応してもらい、僅かながらも支援しようと売上に協力して出発。蝶ヶ岳ヒュッテより山座同定盤のある瞑想の丘で展望を愉しみ、二重山稜桂川よりにつけられたハイマツに覆われた稜線をホシガラスを見ながら横尾分岐を通過して、少し広くなった安曇野側に三等三角点2644mがあり休憩。稜線に戻り、少しの時間、岩峰を登ると蝶槍の頂稜に着く。槍沢より槍の穂先へと続く大迫力の迫り上がりを眺め、稜線の先には常念山脈の,盟主常念岳の三角錐が美しい。横尾分岐に戻り、2625mの稜線よりすぐに森林限界を割り込みコメツガの樹林帯に入る。槍見台のベンチで休憩し少し下ると槍沢の瀬音が訊こえてくる。次々と現れる梯子を下り横尾に下山する。食堂が閉鎖中の横尾山荘を通過し、徳澤園の「みちくさ食堂」で人気の野沢菜チャ-ハンを注文し、昭和33年映画「氷壁」主演菅原謙二で使用されたキスリングザックとピッケルを見ながら昼食休憩。明神を通過し、ビジターセンターで山岳パネルや上高地の映像を鑑賞し、上高地バスターミナルに到着。インフォメーションセンター2Fギャラリーで日本山岳写真協会副会長、青野恭典写真作品展「上高地・槍・穂高」を観賞し、15:40大阪阪急三番街行き、さわやか信州号(往復とも乗客8名)に乗車し、帰阪。

 

山行日の変更については、コロナ禍により蝶ヶ岳ヒュッテは営業自粛が行われ、8月3日より一般登山客の受け入れを開始するが、1日20名に予約制限をしていて、予約が取れなかった為。

 

当会でも人気の蝶ヶ岳には、8月初め、内本和子、竹谷多嘉子、三角ミチ、村上能子、以上4名のアルピニストが安曇野側の三股より標高差1300mを登り上高地に下山されました。

 

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