2024年10月26日(土)
花紀行第7回
天候 小雨のち曇り
山行名 紀州富士・龍門山で秋の花を見つけよう
参加者 CL土岐岡和雄
平野裕子、國司民生、宮崎久視子、佐々木美子、永野猛士、島村良子、
堀川節子、山上ひろ子、西田陽子 10名(敬称略)
行程
荒見9:30―10:田代コース登山口―塵無池―11:30田代峠―磁石岩―12:30龍門山(昼食&秋の草花をさがす)13:15―13:45明神岩ー14:50中央コース登山口―15:45荒見
山行記録
秋の花と言えば、皆さんご存じの秋の七草「ハギ、オバナ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ」ですが、今日は和歌山県紀北部にある龍門山(760m)に咲く秋の花を見つけよう、と例会山行を計画しました。
最近の天候不順で今日も曇りに小雨の予報でしたが、荒見からぽつりの小雨のスタートとなった。正面に見える山頂をめざし直登の農道を進む。柿や蜜柑畑の広がる農道脇にはセイヨウアサガオ、ホシアサガオ、マルバルコウ、コセンダングサなど秋の雑草(雑草という草はないが)とアケビの実がなり、アオノツヅラフジ、ノブドウ、ボタンヅルの青い実とタンキリマメ、ガマズミの赤い実がなり花とは違った彩りをみせてくれます。
農道を過ぎて更に登って行くと別荘地が見えます、以前、別荘が数軒建っていたが今は使われず、草が繁茂して見る影もなくなって、夢の後…と言う状態です。やがて龍門山の主要登山口の田代コース登山口に着きました。一本立て水分補給をして、いよいよ山道に入ります。 雑木林に囲まれた登山道を行くと、シロダモ、ヤブニッケイ、リョウブなど木本やキセルアザミ、ヤマハッカ、ギボウシなどの草本が迎えてくれます。
やがて龍門山と飯盛山の分岐、田代峠に着きました。ここから山頂までは尾根筋歩きです。登山道にはツルシキミ、イナカギク(ヤマシロギク)、リュウノウギク、コウヤボウキの花が秋を感じさせてくれます。龍門山は季節を問わずたくさんの花が楽しめる山です。
登山道を緩やかに登って磁石岩を過ぎるとやがて756mの山頂に到着です。曇り空でしたが、眼下に紀の川の流域が見渡せ、前方に和泉山脈が遠望できました。このころ雨も止み、山頂の芝生に腰を下ろし、ゆっくり昼食をとりました。食後、山頂周辺に咲く秋の花を見つけましょう、と皆さんで植物観察です。まず、ムラサキセンブリを見ました。漢字では紫千振と書き、濃い紫色をして秋の草原に咲く花の一つです。しかし最近は各地で消滅し、環境省の準絶滅危惧種になっています。ここ龍門山を構成する蛇紋岩はムラサキセンブリに適し自生している。周辺ではセンブリ、ヤマラッキョ、ツリガネニンジンなど秋の花がみられました。
龍門山にはたくさんの野菊が咲いています。秋はイナカギク(ヤマシロギク)、リュウノウギクなどがあります。
秋に咲く野菊を見ると、青春時代に読んだ伊藤左千夫の「野菊の墓」を思い出します。…「政夫は野菊の花を摘み、素朴で優しい民子を「野菊のような人だ」と言う。民子は政夫をりんどうになどられたりする。」…政夫と民子の純愛を描いたこの物語は、いつまでも読む人のこころに残ります。
下山は中央コースをとり、途中展望のある明神岩に寄りました。 一枚岩の明神岩に立つと、紀の川の流れや遠く大峰の山々も遠望できました。やがて中央コースの登山口に着き、ここからは農道を下るだけです。
往路の田代登山口を過ぎ、荒見で終礼、ここでタクシー組と歩き組に分かれJR粉河駅で今日の山行を終わりました。
不安定な天候のなか、大阪や奈良から遠路にも拘わらず、参加していただいた皆さんありがとうございました。
低山に咲く秋の花は、春に咲く花たちと違って群生することは少ないのですが、今日の例会山行で小さな秋を感じていただけたでしょうか。
今日見た花は一輪ごとに咲いていました。 児童文学者の今西祐行著書で、小学校の国語の教科書に載った「一つの花」と言う題名の本の中で、幼いゆみ子の口癖は「ひとつだけ」…その言葉から戦争の悲惨さを訴えた作品です。皆さんもきっと記憶があるでしょう。
一輪の花…一つの花…「百の花束より一輪の花」…。花紀行第7回、これからも花を訪ねてのんびり、ゆったりした山行を楽しみませんか。
(記)土岐岡